レース フォー ザ ギャラクシー+ギャザリングストーム

ボドゲ界(笑)では既に名前の通った名作だが、プレイ人数が4人までということで敬遠してきた。これが5人まで対応できるエキスパンションが出たのでまとめて購入してみた。最近流行の特殊カード満載のトレカ風カードゲームのため、きっちり日本語化してから遊んだ。
日本では「銀河大競争」なんてタイトルで紹介されているが、レースゲームというわけではない。人類が宇宙に進出して様々な星に移り住むようになった時代。栄華を築いた地球文明ももはや衰退し、そのあとを継ぐ各文明が勢力を拡大していく。というストーリーだ。ロストコロニーやエイリアンの文明、銀河帝国やアルファケンタウリなど、SF者にはツボを刺激されるカードがたくさんあり、見ているだけで楽しくなってくる。
システムは「宇宙サンファン」と揶揄されるが、ゲームの勘所はちょっと違う。サンファンプエルトリコでお馴染み、誰かが選択した行動を一斉に行い、選択したプレイヤーは特権を得られる「ヴァリアブルフェイズ方式」を採用しているが、そのフェイズ選択は同時プロットになっている。プレイヤーが選択しなかったフェイズは飛ばされるので、特権と必要なアクションを量りにかけて、カードをやりくりしていくゲームになる。
ゲームに登場するカードは、行動をプロットする各プレイヤーカードと、実際にゲームで使われるカードの2種類だ。ゲームカードは開発カードと移住カードの2つに別れている。開発カードは「投資信託」「宇宙軍」などの自分のアクションを強化するもの、移住カードは実際の領地(というかコロニーや星系)を表し、生産物やそれを消費して得点に変える能力などを持つ。これらをバランスよく配置していき、カードの勝利ポイントと、生産物で稼ぐ勝利ポイントチップの合計を競うわけだ。
カードを配置するには(ここがサンファンと言われる所以だが)、そのコスト分のカードを手札から捨てなければならない。自分の世界に必要なカードを選択し、どれをコストとして切り捨てるか。その経営手腕が問われるゲームだ。また軍事系の移住カードを配置するには一定値以上の軍事力が必要になる。その代わりに軍事ワールドはコスト不要となる。大量生産、大量消費の経済系戦略と、少量生産、低コスト開発の軍事系戦略。どちらも強力で面白いゲームだ。
日曜に集まった3人で何度か遊んでみたが、とても面白い。カードの種類が多く、どれを使うか選択に迷ってしまう。慣れるとそれなりに短時間で遊べるので、つい何度も手を出してしまった。人気になるのも肯ける。
もちろん欠点も結構ある。カードの能力はアイコン化されて視認性も良いが、種類が多くて慣れるのに時間がかかる。またほとんどが1枚きりのカードばかり(多くて3枚)なので、引き運に左右され、一方的な展開になる可能性もあるということ。テーマももちろん趣味が別れるところだろう。しかしどの欠点も利点と密接に結びついているので、数回遊んでゲームを把握できれば強烈にハマれるゲームだ。ドミニオン同様、トレカ好きには是非一度(というか3回は遊んでみて欲しい)オススメしたいゲームだ。