グレンモア

今回のヒット作。最近ゲームを買う時は、大抵ネットで評価やルールを見たりしてある程度どんなものか知った上で購入しているが、これは違った。aleaの小箱であるということと、裏面の説明を読んで「何となく良さそう」ってな感じで買ったら、これが当たりだった。
舞台は17世紀頃のイギリスで、部族が勢力を拡大していくゲームだ。基本的には、正方形のタイルを獲得していき、それによって自分の箱庭を作っていくよくあるパターン。「アルハンブラ」に近いイメージかな? しかし他の部分ではいろいろ面白い味付けがなされている。
タイルは公開されているものを順番に獲得していくのだが、これがちょっと面白い。四角に並べられたタイルを、同じボード上に並べられたプレイヤー駒を動かして取っていく。このとき、「列の一番最後」にある駒のプレイヤーが次の手番になる。つまり先の方にあるタイルを取ると、次の番が周ってくるのが遅くなってしまうのだ。身内では「(レッド)ノーベンバー方式」と呼ばれていた(笑)
取ったタイルは自分の場にあるタイルに隣接させて置く。この時、タイルの周囲8マスのいずれかに部族駒が乗っていないと配置することができない。つまりタイルが増えてくると、部族駒を増やしたり移動させないとタイルを置けなくなってしまう。この配置にまず頭を使う。
タイルを配置すると、タイル獲得時の効果やタイル「発動」時の効果を得ることができる。ここでタイルによって5種類の素材を生産したり、素材を得点やウィスキー樽に変換することができるのだが、この時置いたタイルに隣接しているタイルも全て、「発動」効果を得ることができるのだ。1手番で麦を生産してウィスキーを作ったり、木材と石材を生産して橋を作って得点を獲得したりできるわけだ。ここで更に配置に悩むことになる。(笑)
タイルの山が1つ無くなるごとに決算があり、3回でゲーム終了となる。この得点計算もちょっと特殊で、ウィスキーや特殊タイルの数について、「最も少ないプレイヤーの所持数」との差を基準に得点を獲得できる。つまり最下位の人は無得点になる。更にあまりに少ないと他のプレイヤーばかり得をするので、各要素を少しでも持っておきたくなる。悩ましいシステムだ。
こうして見ると、個々のシステムは面白いが斬新という程でもない。しかしその組み合わせやデザインの妙で面白さを出している。生産や得点タイル以外に13枚の特殊なタイルがゲームに彩りを与えているし、資材を金銭でやり取りできる(これも簡単な相場がある)ので選択肢を縛られることが少なく、自由度が高いのも面白い。
初回のゲームでは各種素材を集めて市場で稼ぐパターンを狙ってみたが、酒場を独占したきりすきの流川作戦に敗北(笑) 2回目には橋や肉屋でコツコツ稼いでみたが、これも及ばず。タイルを取りすぎると得点にマイナスを受けるので、もっと標的を絞っていった方がいいようだ。
タイルのアイコンなど基本的なところを把握すればテンポ良く進むし、少人数ではNPCを使ってバランスを変えないまま2〜5人に対応しているところもポイントが高い。開発系、箱庭系のゲームが好きな人にはオススメしたいゲームだ。(きりすき1勝、KAZ1勝)