ネットランナー

ある意味、今回のメインイベント(笑) この近辺では俺とみかぬしかプレイヤーが存在しないと思われる、伝説の(笑)トレーディングカードゲームだ。
プレイヤーはサイバーパンクの世界で、企業側とランナー(ハッカー)側に別れて対戦する。それぞれが専用のカードを使ったデッキを持ち、企業は事業計画の達成が、ランナーは計画の奪取が目的になる。企業は事業計画やそれを補佐するカードをネット上にインストールし、それを守るために防壁を配置する。ランナーは防壁破壊のプログラムやサイバーデッキ(コンピュータ)を駆使して企業の計画を探りにネットに侵入する。ランナーが攻め手、企業が守り手と立場がはっきりしている珍しくゲームだ。
企業の防壁や事業は伏せられており、ランナーが侵入して確認するまでは内容がわからない。ダミーやトラップもあり、どこを守って事業を進めるか、その駆け引きが熱い。対するランナーはフットワークが真骨頂だ。企業のネットは言うに及ばず、企業の山札や手札、果ては捨て札にまで侵入して企業の計画を探る。JMやマトリックス気分で遊べる良作だ。
これだけ出来の良いゲームが何故廃れたのか。タイミングやテーマ、その他の要因もあったのだろうが、「カードゲームとして完成されていた」ことも大きな要因だろう。極論するとこのゲーム、スターターデッキ一つ買うだけで十分に遊ぶことができる。マジックにありがちなマナ(土地)の問題はルールでクリアされており、どんなデッキでも最低限の機能はするからだ。もちろん強いデッキ、コンボデッキにはある程度のカードは必要だが、カードに依存しない、ルール面での駆け引きが面白いので、必死にカードを集める意味が薄いのだ。「カードゲームとして完成されていたために、トレカとしての商業的には失敗してしまった」稀有な作品だと思う。もはや入手は叶わないかもしれないが、今のプレイヤーにも是非お勧めしたい、良質な二人用カードゲームだ。